GAMO NEWS今号のテーマは『Rhythm』。
カバー&ヴィジュアルを手がけていただいたのは 都内で『nuku』、『roon』 の2店舗を展開する、齋藤 利弘氏。サロンワークの他、クリエイティブワークやコンテストにも力を入れている 感性豊かな齋藤氏が奏でるRhythmを感じてください。
齋藤氏がイメージする
テーマ『Rhythm』とは
—テーマから、どのようにイメージを展開されましたか?
さまざまなものにリズムがありますが、僕は歴史が好きなので、今回は「時代のリズム」をテーマとしました。時代の中で60年代、70年代をチョイスし、ファッションを含めて繰り返される流行のリズムをレトロな雰囲気で表現。女性像は、60年代のツィギー、70年代のヒッピーやフォークロア系のファッションを着こなしていた女優さんなどから着想を得ています。また、美術にも関心があるので、美術史の流れも意識しました。裏テーマを「原色」とし、モンドリアンカラーの赤・青・黄をヘア・空・衣装で取り入れたいと考えました。ヘアカラーは、季節感を意識して深みのある赤にし、レングスをショート、ミディアム、ロングとリズムをつけて一人のモデルさんで表現しました。
表紙の作品
中面の作品(右)
中面の作品(左)
ーそれぞれの作品について、もう少し詳しくポイントをお聞かせください。
表紙は、背景の色合いがポップなのでレトロ調にし、ツィギーのようなフィンガーウェーブを取り入れて遊びがある感じをイメージしました。中面(右)のヘアは、スクエアのようなシルエットで、青空を背景とした時に赤のヘアで コントラストをつけました。中面(左)は、フォークロア調の土っぽさを表現したかったので、モデルさんの髪と色を合わせたエクステをつけて、少しレイヤーを入れた感じに。カールをつけたエクステ部分はボリュームがあるので根元の部分はタイトにしてメリハリを出しています。
今回の撮影チームについて教えてください。
カメラマンのTAKUMAさんは、コロナ前に何度か撮影をお願いしたことがあり、久しぶりにご一緒させていただきました。今回は猛暑の中、オール外ロケだったので、事前に綿密な打ち合わせを行いました。こちらのイメージを汲んで色々と提案もしてくださる方なので、とてもやりやすかったです。メイクのヒカリさんは、撮影会でいつもお願いをしている方で、互いに切磋琢磨し合える存在です。アパレルのお仕事もされていたので、こちらが準備した衣装やキーワードから汲み取ってくださるので助かります。チームの力をお借りしながらイメージ通りの作品ができました。
結果が出ない時期を乗り越えるため
自分を変える必要があると思った
ークリエイションを始めたのはいつですか?
25歳ぐらいの時です。前の会社で先輩が クリエイションをやっていて、撮影のきっかけをいただいたことから始めました。そこから毎年、ガモウさんのコンテストやメーカーさんのコンテストにチャレンジをして、30歳の時に一度ノミネートされ、33歳の時にメーカーさんのコンテストで結果が出たことがありました。でも、その作品はカメラマンさんが上手くイメージを作ってくださったこともあって受賞できたと思います。まだしっかり土台が出来ていなかったので、そこからの10年はかすりもしなかったです。これは自分を変えなくてはダメだと思い、出来ていなかったことに挑戦してみようと、『SVK』でメイクを勉強しました。そこで知り合ったメンバーとのつながりが、今すごく大きな財産になっていまして、鶴 健一郎さん(Dear Green アンテナ美容)に毎月撮影会をしていただき、勉強させてもらっています。
鶴さんはいつも「地力が必要」だと伝えてくれていますが、フォルムや髪の毛の細部に至るまでこだわり、納得するまでやるというスタンスを勉強させてもらっています。こうした人との出会いから、クリエイションへの向き合い方も変わってきました。まだまだですが、 仲間からチャレンジするエネルギーを貰い、楽しみながら作品づくりに挑んでいます。
2022年 JHA東京エリアノミネート
ーメーカー主催のコンテストではスタッフ様も受賞されていますが、サロン全体でクリエイションに取り組まれているのですか?
全員参加です。美容師は、人間力・技術力・感性が必要だと考えますが、その中で「感性」の部分はどう学べばいいのかといつも考えていて、繰り返しクリエイションをやっていくことが一つの方法ではないかと思っています。無から有は生じないので、最初は人の作品を見ながら、真似しながらでも興味を持つことが大事。僕も前職でそのように育てていただいたから今の自分があると思っているので、当サロンのスタッフにも経験してもらい自分づくりをしてほしいと思っています。スタッフはみんな若いので、発想が面白いし、「ああしたい、こうしたい」と言いながらとても楽しそうです。
ー撮影で大切にされていることはありますか?
いいデザインを作り、いいコミュニケーションをとって、「今日、この撮影に来てよかった」とモデルさんをはじめ、カメラマンさん、メイクさん、撮影に携わってくれた全ての方に喜んで帰ってもらいたいという気持ちがいつもあります。あとは、当たり前のことかもしれませんが、モデルさんに似合っていて、なお且つ自分の中で毎回、「新しい」と思うことを作品に入れたいと心がけています。
誠実にひたむきに、デザインとモデルさんに向き合っていけば、必ず見えてくるものがあると信じています。時間がかかるかもしれませんが、美容師人生は一瞬で終わるものではなく、長い道のりです。地に足をつけてしっかりやっていけるように、これからもっと勉強してチャレンジして、上手くなりたい! とそれだけです。今回、このような撮影の機会をいただき、本当にありがとうございました。
COVER LOOK BY
nuku_Toshihiro Saito
HAIR: Toshihiro Saito (nuku)
MAKE-UP: Hikari Hirohata
ASSISTANT: Megumi Yoshisue (nuku) Coco Takabayashi (nuku)
PHOTO: Takuma
MODEL: Angela
齋藤 利弘氏
1974年生まれ。千葉県出身。 窪田理容美容専門学校卒業後、1993年JUNONに入社。 2008年に独立、三鷹に「roon」をオープン。 2020年に吉祥寺に2店舗目となる「nuku」をオープン。 2021年.2022年 JHA RISING STAR OF THE YEAR 東京エリア賞ファイナリスト。
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-18-23 MINAMICHO GARDEN 2F
http://hair-nuku.com
@nuku.hair
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