SDGsに取り組む　M.SLASH ホールディングス

Take ActionDec.06.2023

美容業界でSDGs（持続可能な開発目標）に取り組む企業・団体をご紹介するTake Action。
第9回目は、サロンならではのさまざまな試みを積極的に行っているM.SLASH ホールディングスです。

ライフスタイルコミュニティとして
自分たちのできることを
模索していきたい

M.SLASH ホールディングス
取締役／CFO 矢冨聡氏

株式会社M.SLASH ホールディングス
コーポレートコミュニケーション室室長
徳山薫氏

失敗を経て気づいた
地域に根付いたサロンの役割と
目指すべきもの

1998年の創業以来、日本の美容室でいち早くトータルビューティーに着手した「M.SLASH」は、東京・神奈川を中心に16店舗のサロンを展開しています。横浜市のSDGs認証制度“Y-SDGs”を取得した数少ないヘアサロンでもあり、様々な取り組みを行ってきましたが、すべてがうまく進んだわけではありません。

例えばカラー材のチューブのリサイクル活動ですが、それを達成するためには、毎日何十本も空くチューブを残さず絞り出す作業や、回収してもらえる量300㎏になるまで保管するために社内空間を圧迫するほどのスペースが必要でした。リサイクルのために本来の仕事に支障が出たり、スタッフに大きな負担がかかってしまうのは本末転倒ですし、この活動を続けるのは難しいと判断しました。

SDGsとは持続可能であることが第一です。ですので、サロンが長く地域に根付いて営業し続けること、その中でコミュニティ的な存在になることが、私たちが目指すべきものなのではないかと思い至り、そこで改めて自分たちに何ができるか、何をすべきかを考えたときに、「ライフスタイルのサポート」という会社のコンセプトに立ち返りました。

ライフスタイルコミュニティとして
まずは働くスタッフの
健康と日々の充実を図る

ライフスタイルをサポートするためには、お客様はもちろん、ここで働くスタッフが健康で充実した生活を送ることが大切です。様々な価値観を持つスタッフそれぞれの意思を尊重するため、入社2年目にキャリアプランを選べるようになります（1参照）。「仕事もプライベートもどちらも充実させたい」「自分の時間を早くたくさんの技術を学ぶことに費やしたい」という気持ちは、どちらも正しいものですし、それぞれに合った働き方があるはずです。スタッフ一人一人の希望を明確にすることで、より働きやすい、働き続けやすい環境を目指しています。働く中でのキャリアチェンジも受け付けており、状況の変化に沿ってライフプランを再構築することが可能です。

また、女性が多い業種であることから、産休・育休を取りやすく復帰しやすいシステム作りのひとつとして、センター南店に保育園「フェアリーランド」を開設しました。今も2名のスタッフが利用しており、先日初めてサロン主催のイベントも開催しました（2参照）。スタッフへの福利厚生だけでなく、地域への貢献や交流の場としても成長していければと思っています。

働く人もお客様も
笑顔になれる
サービスの提供を目指す

前述の保育園のほか、サロンに併設した「M.D.F.ビューティカレッジ」（3参照）や「エムスラッシュネイルスクール」など、サロン以外の事業も展開しています。2013年にオープンしたペットサロン「アンブル」はサロンに隣接しているため、ご自分の施術中に愛犬もトリミングというような使い方をしてくださるお客様もいらっしゃいます。このアンブルの室内ドッグランの空間を保護犬の譲渡会場に提供したり、みなとみらいで開催する「YOKOHAMA GOGO DOG FES」に参加するなど、地域に密接した活動も行っています（4参照）。

さらに、ヨガやダンスのレッスンやお料理教室の開催のほか、千葉県鋸南町で一棟貸しの貸別荘「AWA WELLNESS AREA」も経営しています。これらすべての事業に共通するのが、“ウェルネスにつながる場所・サービス”であることです。「美容を通じて笑顔になってほしい」という思いを実現するため、トータルビューティーからライフスタイルのサポートに一歩踏み込んだ施策にチャレンジしています。また将来的に、サロンスタッフのセカンドキャリアの受け皿として機能できればという期待も持っています。

今、SDGsについて、「何かしなくてはいけない」と考えているサロンさんは多いと思います。失敗も含め、試行錯誤してきたからこそ「SDGsのために何かしなくては」ではなく、「サロンで働くスタッフやお客様がよりよい人生を送るために何ができるか」を考えることが、本当の持続可能なSDGsにつながると実感しています。小さなことですが、表参道の店舗でお出ししているウェルカムスイーツにもその想いが込められています（5参照）。これからもM.SLASHだからこそできるSDGsを模索していきたいと思っています。