【トップ対談】シュワルツコフ プロフェッショナル×資生堂プロフェッショナル ヘンケルで最強のワンチームが誕生

Jul.22.2024

2022年7月に独・ヘンケル社が資生堂プロフェッショナル(以下、資生堂プロ)を傘下に収めたことは、美容業界でも大きなニュースとして報じられました。2023年7月には新体制を発表し、ワンチームとしての歩みを確実に進めています。ヘンケルコンシューマーブランド代表のピーター・リグビー氏とマーケティング本部長の井原和之氏に、この2年間を振り返りつつ、今後の展望についてお話を伺いました。

(右)
ヘンケルジャパン株式会社
ヘンケルコンシューマーブランド
プロフェッショナル事業本部
コンシューマー事業本部
資生堂プロフェッショナル日本ビジネス事業部 代表
ピーター・リグビー氏
(左)
資生堂プロフェッショナル株式会社
ヘンケルコンシューマーブランド プロフェッショナル事業本部
マーケティング本部 本部長
井原和之氏

価値観を共にするため
時間をかけてチームを築く

—異なる歴史を持つ2社が1つになるということは、様々な課題も生まれると思います。この2年間はどのようなものだったでしょうか。

リグビー氏 急ぎすぎないことが重要と考え、双方のチームが歩み寄ってそれぞれの価値観を一致させ、ひとつのチームを作り上げるという取り組みをしてきました。時間をかけたことで内部で強いチームを構築でき、第一歩は正しく踏めたと思っています。これから二番目のステップをどう踏み出すかという時期になってきました。

—サロンや美容師にとって、愛用しているラインの今後の展開は関心が高いと思うのですが、2つのブランドについて、すみ分けという点はどのようにお考えですか?

井原氏 シュワルツコフプロフェッショナル(以下、シュワルツコフ)はブリーチ市場でナンバーワンのシェアを持つ『ファイバープレックス』と、プレミアムな価値を訴求するクレイカラー『テラ」が主力商品です。資生堂プロは『サブリミック』に代表されるようにヘアケアに強みを持っていますが、幅広い世代のスタッフが安心して使用できる『プリミエンス』やブリーチなしでも美しい発色を楽しめる「ア
ルティスト」と言ったヘアカラーも配置しています。このようにお互い強みが違うので競合することがなく、共存できると考えています。

—商品について異なる強みがあるように、ブランドとしての特性はどのようにお考えでしょうか。これからも大切にしていきたい点、進めていきたい点を教えてください。

井原氏 遊び心があり、エッジの利いたイメージのシュワルツコフを“動”とすれば、エレガントで洗練された資生堂プロは“静”といったように、対照的なブランドと言えます。また、シュワルツコフは欧米のトレンドをキャッチして取り入れており、逆に資生堂プロは日本のトレンドやニーズをアジアに向けて発信しています。双方を無理に融合させると特徴のないブランドになってしまうので、アイデンティティは絶対にキープする必要があると思っています。

リグビー氏 規模が大きくなったことによって、より多くのサロン様の声を拾えるようになりました。私たちは”in Japan for Japan(日本において日本のために)”という言葉を掲げているのですが、サロンニーズをより深く知ることで、イノベーション的なサポートにつなげることができるのではないかと考えています。それは、製品についてだけでなく、双方の知見や教育、技術的なことをより多くお届けすることが次のステップになると思っています。

双方の知見を製品だけでなく
教育や開発に活かしていく

—“教育”というお話が出てきましたが、美容業界において教育というのは常に大きな課題であると思います。具体的なプランやすでに行っていることはありますか。

井原氏 シュワルツコフはブリーチに強みのあるブランドなので、基本的な知職から高度なテクニックまで学べる「ブリーチデザインアカデミー」など教育コンテンツも充実しています。また、資生堂プロは“似合わせ”を論理的に理解して提案するための「ベストマッチング」というメソッドがそれぞれが持つ教育を合わせることで、満足度を総合的に高めていくことが可能になりました。

—教育だけでなく開発についても協力して進めていくというお話ですが、昨年オープンした「ジャパン ビューティー イノベーションハブ」は今度どのように活用していかれるのでしょうか。

リグビー氏 社内的な投資のひとつの結実がこのハブといえます。我々が注力しているのは、今後の製品開発です。ハブから生まれた新製品の第1弾として、6月に「ファイバープレックスボンドケア(シャンプー・トリートメント)」を発売しました。この一歩を通じてお客様やサロン様の声をしっかりと聞いていくことで、今のニーズの把握だけでなく、今後のニーズも予測しながら動けると思っています。

ジャパンピューティーイノベーションハブでは2社のチームが共同オフィスを構え、協力して研究開発を進めている。

—主力製品である『ファイバープレックス』にホームケアアイテムが登場するとのこと。今後のサロンでの展開に期待することはどのようなことでしょうか。

井原氏 ブリーチというのはどうしても髪にダメージを与えてしまうものですが、「ファイバープレックス』はケア効果が高いブリーチとしてワンランク上のメニュー展開ができるブランドです。そこに、ホームケアとして『ボンドシャンプー・トリートメント」を使うことでサロンケアだけでなくホームケアでも毛髪を保護・強化でき、「ファイバープレックス」ブランド全体で、総合的な価値、新しいメニューを打ち出していけるのではないかと思っています。

リグビー氏 美容師さんにとって表現の幅が広がることになり、それがお客様にとってもプラスの料金を払う価値のある技術や体験になりました。そして、それがサロンの利益につながるということがうまくはまったからこそ、日本でこれだけ広まったのではないでしょうか。この成功を誇りに思いますし、今後ハブから、これに続くような商品が誕生することを期待しています。

—最後にこれからのヘンケル社に期待するサロン、美容師に向けて意気込みをお聞かせくたさい。

リグビー氏 我々の事業統合によるメリットは、アジアにとどまらず、グローバルにも“in Japan for Japan”という日本発の知見を持ち込めることだと考えています。そのためには、どんな投資をしていくかを的確に判断し、フレキシブルに進化を続けてまいります。


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