NUMBER_26 原田 賢司氏/株式会社MINX world

Mar.19.2019

1985年に設立し、今年34年目を迎える『MINX』(株式会社MINX world)。現在、原宿・青山・銀座エリアに5店舗を展開。業界不況と言われる中、 昨年度は過去最高益を記録し、8月には銀座で新店舗の開業予定もあるなど好調だ。取締役副社長の原田 賢司氏に、これからの時代に必要な経営戦略について伺った。

株式会社MINX world 取締役副社長
原田 賢司


多くのサロンが抱えている経営課題と問題解決への糸口

公認会計事務所を経て2000年、経理としてMINXに入社。現在はMINXの店舗経営、店舗出店の責任者、またMINXグループサロン10社の財務・決算を担当している原田氏。原田氏は、ある統計に注目した。2018年は美容室の倒産件数が過去最高を記録。設立から1年以内の閉店は約60%もあり、MINXのように30年以上継続している美容室はわずか0.02%と1万件に2件しか残らないというショッキングな数字だ。

「しかし、逆に残っているサロンに継続の秘訣があると思います。先に結論を言ってしまえば私は【人材をつくれるサロンが生き残る】と考えます」。

新卒採用で言えば、いま美容師免許を取得する人数は全盛期の半分以下。尚且つ、入社3年以内に7割が離職するという統計もある。そのような現状の中、総勢207名のスタッフが従事するMINXでは離職率を1割程度に抑えられるようになってきている。スタッフの定着率を上げる上で大切なことを原田氏は3つ挙げる。

「1つは【明確な教育システム】です。つまり自分のキャリアプランがその会社にあるのかどうか。これはMINXが強みとしているところです。しかし、システムだけが出来上がっていても教える人の質で教育を受ける人の質も決まるので、やはり技術の向上がなければ明確な教育システム、キャリアプランは創れないと思っています。そして2つ目は【スタッフケア】です。例えば、入社して同時に技術の教育が始まりますが、どんな環境の中でもついていけない人は一定数います。でも、その人たちが出来るまで付き合ってあげるのが『技術のケア』。そして、遅れをとっている人が居づらくなるような環境を作らない『メンタルのケア』も必要です。3つ目は【情報公開】です。30歳ぐらいになると、このまま会社にいてもいいのだろうか、独立を考える必要があるのではないか…と色々な発想が生まれます。その時に僕らが一番しなくてはならないのが『数字の情報公開』だと考えます。MINXはなぜ、この給料、待遇になっているのか。何人でいくら売上げればサロンがいっぱいになるのかゴールを明確に定義し、全スタッフに説明します。MINXは待遇で辞める人がほぼゼロなのは情報公開をしているからだと思います」


「I am MINX」2019S/S trend hair collection

人に必要とされるサロンを継続していくために不可欠なこと

スタッフが働きたいと思うサロンでなければ人は集まらず、お客様が来たいと思うサロンでなければお客様も消える。人に必要とされるサロンであるためには、新しさ、話題性、情報も出していかなければならないと原田氏は言う。

「高橋マサトモの言葉ですが【時流を読む、時流を作るサロンでなければ、新しいスタッフも来なければお客様も来ない】。そのために【2割のトップをつくり続けろ】と言っています。組織が100人いたら20人、同じベクトルを向く人間を創るということです。会社の指針をきちんと理解し夢を語ることができる2割のトップをつくることは今後も続けなければいけないと思っています。また、2割のトップの役割としては皆が働きたいと思うサロンづくり、お客様が来たいと思うサロンづくりをしていかなければなりません。僕はそこを経営面で守っていかなくてはいけないので、現場のスタッフが安心してステップを踏めるよう、リスクを排除したり、数字による正しいジャッジを行うことが役割だと思っています」


原宿・青山・銀座エリアに5店舗を展開

社内の技術講習

これからの時代を見据えたMINXの経営理論と戦略

永久顧客をつくるのは現場のスタッフ。そのためには美容師が生涯美容師でなくてはいけない。また、生涯美容師でいるためには終身雇用が必要となる。2年前にMINXが打ち出したのが【永久顧客・生涯美容師・終身雇用】だ。

「これを実現させるのが会社のテーマになっています。最初に申し上げた結論に戻るのですが、やはり【人材をつくれるサロンが生き残る】といのが全てにつながっていると思います。人材がつくれても、そこに魅力がなければ入って来ませんし、離れていきます。サロンづくりというのは最も人で成り立っている。人をつくり、人を残すというのが最大のテーマかなと思っています」。

「僕は美容師ではないけれど、美容師と同じ方向を向いている」と語る原田氏。外部委託ではなく、100%社内経理を樹立していることこそがMINXの経営を向上させることができた要因の一つとも言える。

「税理士事務所にいた頃は中立の立場にいなければならない仕事の性質上、お客様の立場に立って考えることはできませんでした。しかし、MINXに入ってから、経理に関することでスタッフひとり一人に必要とされ、感謝される喜びを知りました。私も役割に徹し、さらなる向上を目指せるMINXを創っていきたいと思っています」


原田 賢司
1972年埼玉県生まれ公認会計士事務所を経て、2000年、経理としてMINXに入社。2014年、取締役就任、2017年、取締役副社長就任。MINXの店舗経営、店舗出店の責任者。また、MINXグループサロン10社の財務・決算を担当し、100%社内経理を樹立。税法の知識を生かし、最善の結論を導き出す、数字を創る職業人。また2012年には美容師の営業と教育の分離を図り、教育機関として一般社団法人東京美容師の会を設立。現在、理事を務める。

株式会社MINX world
東京都港区南青山6-11-3 神通ビル603
TEL:03-3498-3770
https://minx-net.co.jp

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