ガモウニュースVol.104号の舞台裏 山下 浩二氏(Double)

Making Cover LookMay.25.2022

生命の息吹を感じる季節。GAMO NEWS のテーマは『La vie (生命)』。
今回、カバー&ヴィジュアルを手がけていただいたのは、
美容業界のトップを走り続ける『Double』のオーナー、山下 浩二氏。
美容学生たちに見守られながら、メッセージ性のある作品を創りあげていただきました。

山下氏がイメージする「La vie」とは
テーマLa vie 」からどのようにイメージをされましたか

今は、新型コロナウィルスとか戦争とか色々なことが起こっているけど、それに対するメディアの伝え方や日本人の行動にも疑問を感じていたりして。今回は、そういった今の世の中を美容師の自分が捉えて、ヘアスタイルだけじゃなく、写真としてどう表現するのかということを考えて創りました。壮大なメッセージのようだけど、僕らぐらいの年齢になったら「前髪を短く切りました」ぐらいじゃダメでしょ(笑)。コロナ前ならノリノリでやっていたかもしれないけど、今はこういう気分なんですよね。

本当はモデルさん二人を合わせる予定はなかったのですが、合わせてみたらショートはロングの髪をいただいてという感じで面白いと思い、採用しました。風が強い時に友達といるとこういう状況ってあると思います。もともとの髪のツヤ感がキレイだったので、できるだけ触らないように。自然なあるがままの感じで、その人の個性が出せればと思いました。

僕は、日本のヘアビューティーの流れを見てきているので、今、こういうのがきたら 目立つかなとか、ちょっと新しいなというのも考えてやったりしています。せっかくGAMO NEWS でやるなら業界誌とか、みんなが作品であまり作らない感じで「でもこれでよくないですか?」という投げかけです。


表紙の作品


中面の作品(右)


中面の作品(左)

今は、本物っぽくて本当の話が少ない時代
—―山下さんが時代に対して思っていることをもう少しお聞きしたいです。

なんか、今、日本はおかしな事になっているよ。コロナも、ハラスメントも、戦争も、ワクチンもね。これ大きい世界の流れ、流行なんですよね。いろんなメディアで色々なことを専門家と言われる人達が好き勝手にしゃべっている。そして、どのメディアも視聴率稼ぎのために同じことを毎日報道し、それを見る人たちに恐怖を植え付ける。

この3年間で、本当にマスクやワクチンが人間のためになったかも疑問ですよね。食べ物も、農薬がダメだと言いながら、虫がついているのは嫌だとかね。その前は虫が食った野菜なんか食べられないというから農薬を使った。だって、農薬を使わなかったら虫がつくでしょ?いい野菜の証拠なのに。

ハラスメントも異常な盛り上がりを見せていて、本当のことすら言えない。みんなで個性潰しにかかっているよね。みんな何も言わず、簡単に何の問題もない同じ人になりたがる。でも、まあみんなの流行だから仕方ないけれど。それと同時に個性がどんどん無くなり、同じような人が出来上がる。私はこの感じがとても悲しい。

だから、人と違うことをしよう、みんなと違っても大丈夫!ということで、今回、作品に、わかりにくいかもしれないけれど入れたつもりです。

撮影は自分たちですべて行うのが基本
――近年はご自身でカメラ撮影もされる美容師さんが増えてきましたが、山下さんはパイオニアですよね。カメラを始めたきっかけを教えてください。

プロのカメラマンに作品撮りを頼むと、カメラの腕次第になってしまうので、カメラマンがいないと作品が作れなくなる。やろうと思えばヘアショーでも自分達で好きなように演出できる。その代わり最初は完全に素人だから、苦労するし、周りのプロに嫌がられる。でも、最後は1から10までわかるようになる。

業界誌なんかも本当はプロのカメラマンじゃないと撮っちゃダメだったんだよ。でもそこを説得するのが美容師の口、態度、情熱です。チャンスをもらったら絶対外さないし、今までできなかったことを必ずやる。それが信用に繋がったのかもしれない。美容師の仕事の基本でしょ。

写真も、趣味がカメラだと思っている人もいますが、写真を撮るのは仕事の一部分なので、ヘアスタイルしか撮れないんです。風景とかは全然ダメですね。

僕のこと皆さん変わった人だと思っている方もいるみたいですが、割と普通なんですよ。普通に気づいたり、思ったりしても、言いづらいことを代わりに言って、そして行なっているだけのつもりです(笑)

前日までに撮影の準備は済ませておくのが鉄則
――今回の撮影は短時間でスムーズに行われましたが、どの程度、仕込みをされていたのですか?

僕は撮影で使うものはいつも前の晩に準備します。今日の撮影も前日に仕込み、撮影のテストもある程度重ねてから必要なものだけを持ってきました。撮影中に上手くいかず、ハマってしまうと夜中になってしまう可能性がありますから。だから、こうやってインタビューでも余裕で話せるのです(笑)。

作品は、常識だと思っていることを壊すためのもの
――最近は、作品づくりをされない若手の美容師さんが増えていると聞きますが。

時代が変わってしまったということですかね。ホームページや個人のSNSに載せるヘアを作るのに時間がないのか、それとも、クリエイティブ作品が前に進んでいなくて、毎回同じで刺激が少ないのかもしれないですね。

今回、美容学校の学生さんたちが見にきてくれていますが、この作品を見ても何のことだかわからない感じだと思います。でも、それはそれでいいのです。目の奥に1回入れることが大切なので。

僕の作品はこれが常識で正当だと思っていることを壊すために創るものだと思っています。だから若い美容師さんもパンクの精神でやってみてはいかがでしょうか。

今の美容師の流れとしては、カットなんてこんなもんさ、ヘアなんて苦労するだけで、これくらいでいいと思ってしまうと、値段も安くしたくなるし、マッサージやトリートメントで稼ぎたくなるよね。それも大切だけど、そうするとみんな同じになってしまうよ。


ある
YouTuberがすごい偉そうに美容師なんて、生産性が悪くてあまりすすめられない職業だからやらない方がいいって言ってたけど、バカだね〜、頭悪いんですか。

生産性が悪いということは、趣味に近いということだよ。それでお金頂き、ありがとうなんて言ってもらえる。だから楽しいんだよ、この仕事は。だから何時間やっても疲れないのよ。そういう美容師が少数でもいるということが大切で、個性的で楽しければ必ず生き残るよ。

この業界もフランチャイズやチェーン店がどんどん伸びていて、飲食や、高級旅館などとほとんど同じやり方で広がっている。個性がなければ頭のいい彼らに飲み込まれて終わりますよ。それでも、本当のことがわかる人は、少数でもいるので、そこを相手にする個性派美容師は必ず残る。

ASIA BEAUTY EXPO 2022 に出演
――開幕が迫る『ASIA BEAUTY EXPO 2022』。2日目(5 月31 日)に行われるヘアショーに出演されますが、どのようなステージになるのか少しだけ教えてください。

長年、好き勝手して威張ってきたおじさんがどう交代するかというストーリーです。好き勝手なおじさんというのは私ですが、私が最初に登場して、その後、若い女性たちにかわります。業界も世代交代です。それを表現したいですね。楽しみにしていてください。ヨロシク(笑)

ASIA BEAUTY EXPO 2022 公式サイト
https://www.asiabeautyexpo.jp

KOJI YAMASHITA_Double

HAIR&STYLING Koji Yamashita(Double)
PHOTO Syota Matsui(Double)
STYLING Misaki Hori(Double)
MAKE-UP Moe Tanaka(Double)
MODEL Yuma
    Romy

山下 浩二氏

鹿児島県出身。1994年、原宿にHEARTS、2001 年、表参道にDoubleをオープンし、現在は、DoubleとDouble&SONSの2ブランドを展開中。卓越したデザイン性と確かな技術で、似合わせのスペシャリストとして幅広い年代から熱い支持を集める。国内外のセミナーやコンテストの審査員を数多く務め、美容師からの圧倒的な人気を誇る。
https://www.hearts-hair.jp

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