新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、休刊しておりましたGAMO NEWS。今号から復刊です! テーマは『QUESTION』。カバー&ヴィジュアルを手がけていただいたのは業界注目の新サロン『QUQU』の浦さやかさんです。まさに「メカラウロコ」なデザインをお楽しみください。
浦さんがイメージする「QUESTION」とは
—テーマからイメージしたことを教えてください。
基本は地毛のカットとカラーをしっかり見せること。シンプル過ぎず、かといって幾何学的なカットでもなく、カットラインはあくまでもシンプルに。そこにエクステの毛束をデザインのポイントとしてプラスしました。それにより表情が変わったり、動きが出たり、民族っぽさが出ていると思います。
あまり分かりやすい髪型にはしたくなくて「この毛って、どうなっているんだろう?」とかQUESTION(疑問)に思うことがデザインの楽しさ。私はキレイにデザインするより「何かちょっと多いよな」「何かが変だな」みたいな違和感があるのがいいかなと思っています。
『QUQU』はコンセプトに「常に疑問を持って、新しいことに挑戦し続ける」を掲げていますが、私自身、新しいデザインへの欲求がなくなることはありません。好きだから創っているのですが、好きだけじゃなくて、見た人がドキッとするようなデザインとか想像しているものをちょっと裏切るようなデザインをいつも創るようにしています。デザインって「自由」だなということが伝われば嬉しいです。
表紙の作品
中面の作品(右)
中面の作品(左)
3つのスタイルのポイント
—カットやカラー、メイクのポイントを教えてください。
3つのスタイルに共通しているのはワイドバングです。最初は全部、正面でいこうと思っていたのですが、横からの動きが可愛かったのでもったいないなと思って、中面(左)のスタイルから刈り上げ部分を増やしました。こめかみの少し上ぐらいからバックにかけて2ブロックで刈り上げています。
カラーは当日、2回行いました。塩基性カラートリートメントのネオンピンクと赤をベースに使っています。
エクステも塩基性カラートリートメントで染めたものを使いました。私はエクステをヘアアクセサリーとして創るのが趣味なので、その延長線でこういうデザインが出てきました。QUQUはお客さんもスタッフも派手髪が多いので、塩基性カラートリートメントはめちゃめちゃ使いますし、エクステもデザインとしてお客さんに提案することが多いです。
メイクは、モデルさんのパーツがしっかりしているので、アクセントとなるメイクを強調させるために他はナチュラルに。マスカラはしていません。
今は「民族系」の要素を取り入れるのがマイブーム
—いつもインスピレーションはどのようにして得ているのですか?
私、アンテナを張るのは実は苦手です。物づくりや絵を描くことが好きなので、何か創っている時が一番、新しいものが生まれてきます。それを止めちゃうと何も出てこなくなってしまうので、いつも創っていますね。
作品撮りをする時は、絵を描いてからデザインを決めています。女性像としては大人っぽいスタイルを創る時でも、その奥に子どもっぽさが見える感じは意識しています。
それと、自分の旬は「民族系」。今までは、日の丸とかセーラー服とか「和」というより「日本のカルチャー」を取り入れた作品を多く創ってきたのですが、ここ半年ぐらいは、アジア全体やアフリカ系の民族の要素を入れて作品を創ることが多くなっていますね。
今回の作品も、ピンクのスタイルはバリエーションとして一つ入れたのですが、基本は民族の衣装やメイクで使われているような自然の中にあるカラフルな色。そこにアースカラーを混ぜ、カラフルさをより際立たせました。でも、作品自体が土っぽくならないように、無機質な民族感を創りました。
衣装はスタイリストさんに頼むこともありますが、私は服を作ることも好きなので、自分でスタイリングをすることも多いです。今回の衣装はシンプルでいきたかったのもあるし、自然に近いものとしてペーパーを使いました。以前、何かに使いたいとアジア系の雑貨店で買っていた仏画なのですが、普通の紙より柔らかくてクシュっといい感じになるんです。
今までやったことのないことにも挑戦しています!
—2020年4月、『LECO』の内田 聡一郎氏と共に『QUQU』をオープンされましたが、内田さんとの化学反応というか、浦さん自身が変わられた部分はありますか?
基本的にQUQUのことは任せてもらっているのですが、外枠の部分では内田がQUQUとLECOを統括して見てくれています。
内田とはデザインの話は定期的にします。HPやInstagramにアップするサロンスタイルに関しては、個性的過ぎると普通の人が来づらくなるから、「もうちょっとナチュラルなデザインを入れてみたら?」とか、私のクリエイションワークに関しては、引きで全体の世界観を見せる作品が多かったので「寄りを増やして、ヘアデザインをもっと見えるようにしたら?」といったアドバイスをくれます。テーマやテイストのことは何も言われないので、作品自体はそんなに変わっていないと思うのですが、ちょっとした変化はあるかもしれないですね。
以前は白背景でビビットな色味の作品を創ることが多かったのですが、ちょっとサブカル過ぎる感じがするので、今は白背景を封印しているんです。
モデルに動きをつけることもあまりやらなかったのですが、今回もちょっと動きをつけてみたり、あまりやらないアレンジ系も入れてみました。
お店も新しくなってちょうどいいタイミングだし、otopeのイメージのままやっていても面白くないので、できるだけ今までやっていないことに挑戦しています。
「絶対、可愛いの創らないと!」って思いで撮影しています
—QUQUのチームが女性ばかりだったので、終始「可愛い!」という声が飛び交う“女子感”満載の撮影でしたね。そして、スタッフの方もきちんと自分の意見を言うし、良い関係性が築けているのだなと感じました。
そうですね。ちょうどモデルさんが20歳のお誕生日だったので、お祝いもしたりしてワイワイ楽しい雰囲気の撮影でした。
今回のアシスタント2人は今年4月に入社した1年目です。今年はたまたま女の子ばかりだったので、1人男性スタッフも在籍していますが、サロンの中も「女子!」って感じですね。スタッフをモデルに作品撮りもやったりしています。
LECOと一緒になってから、すぐに新型コロナウイルスの感染拡大で自粛期間があったので撮影ができなかったのですが、夏から撮影をはじめて、11月に社内のフォトコンテストを開催しました。これから年に4回ぐらいやっていく予定で、その他にも個々で作品撮りやサロンスタイルの撮影は随時やるようにしています。
クリエイションはデザインをするので、引き出しの数がたくさん必要。練習もするし、賞を獲れば自信にもなる。やってマイナスなことはないし、プラスになることの方が多いと思います。
サロンによってはサロンワークに直結しない場合もあるかもしれないし、クリエイションは強制するものではないと思うけど、QUQUの場合はクリエイションが好きで入ってきたスタッフが多いので、皆、楽しんでやっていると思っています。
だから、今回のような撮影は良い緊張感をもってやっています。撮影現場に同行して、よかったな、吸収できたな、すごくいいものが見れたなと思ってもらえるようにしないとって思うんです。「あれ?このデザイン、あんまり可愛くないな」とか思われたらどうしようって。そうはなりたくないんですよ。だからスタッフが「可愛い」って言ってくれるとすごく嬉しい。
それに、そういう現場の方が楽しいし、「もっと出来ることを増やしていきたい」って学ぼうと思ってくれる。彼女たちも今度、初めて作品撮りをするので、その時のヒントにもなると思うし。だから「絶対、可愛いの創らないと!」って毎回、そういうつもりで責任感じてやっているので、いい感じのショットが撮れるまでいつまでも粘ります。
自分の作品は、自分が信じている
—今回の作品はどれもトレンドとか、どこかで見たようなという感じではなく、浦さんの中から湧き出た新しいデザインを見せてもらった。まさに「メカラウロコ」の気持ちです。
そう思ってもらえたら嬉しいです。
自分の作品は、自分が信じています。そうじゃないと思いきったデザインは創れない。可笑しなことをするために自分を信じて創っています。
今年は自分の作品撮りを積極的に行いました。やっぱり、自分が創る方が楽しいですね。
やりたいと思ったことは、悩む前にやった方がいい
—最後に若い美容師さんにメッセージをお願いします!
今、コロナ禍で何かすることが難しいという状況もあるかもしれないけれど、自分が興味のあること、やりたいって思ったことは、悩む前にやった方がいいと思います。
だって、悩んでも何もわからない。私はとりあえずやってみてダメだなと思ったらやめる、みたいな感じですよ。近道ではないし、失敗したらイヤだけど、しょうがない。やってみないと成功もしないから。
だから、クリエイションもとりあえずやってみたらいいんじゃないかなって思います。
COVER LOOK BY
Sayaka Ura_QUQU
HAIR/ Sayaka Ura(QUQU)
ASSISTANT/
Natusuki Adachi, Momo Fukaya(QUQU)
PHOTO/Shota Umetsu
MODEL/Sara Yamashita
浦さやか氏
長崎県出身。9月11日生まれ。QUQU代表。都内2店舗を経て2020年より『LECO』内田聡一郎と共に、渋谷にヘアサロン『QUQU』をオープン。代表として一般誌から業界誌、ヘアショー、セミナーに至るまで幅広く活躍。独自の感性で他にはない「メカラウロコ」のデザイン提案を追求している。
https://ququ.tokyo


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