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GAMO NEWS No.117 COVER LOOK interview 矢崎 由二(LIPPS)

ヘアサロンインタビュー
Feb.19.2025

 GAMO NEWS No.117 のカバー&ヴィジュアルは、「Timeless」をテーマに「LIPPS 』の矢崎 由二氏がクリエイション。同サロン(現「LIPPS hair」)の創成期に入社し、メンズサロンとしてのブランディングを確立した立役者として、サロンを背負って表現した珠玉のスタイルの制作秘話を聞きました。また40歳を過ぎてからクリエイションに取り組み始めたという矢崎氏が語るその意義とは。

ー『タイムレス』をテー マにクリエイションしていただきました。どのように作品に落とし込みましたか。

 自分の作品として色やデザインで見せ場を作ることも考えましたが、『リップス』が25年間ずっとお客様目線で時代とともにデザインを進化させてきたことを考えると、そういった視点を盛り込まなければ、『タイムレス(永久の、永遠の、時代を超えた)』をテーマに作る意味がないと思ったんです。クリエイションは美容のカルチャーの中でも挑戦する人が限られていて、その中でも人を感動させることができる作品を作れる人はごく少数。ただ奇抜なだけでは心に響かないですし、美容師以外の人にも共感してもらいたいと考えて、『リップス』らしさのあるデザインを追求しました。

表紙の作品

ー絵作りでのこだわりを教えてください。

 一般の方にも共感してもらえる上質なハイカルチャーを表現したいと考えたときに、ハイブランドが思い浮かびました。いろいろなハイブランドの広告のクリエイティブからイメージを沸かせて、モデルはメンズ2人で『リップス』のテイストを入れました。表紙はファッション感を出すためにも全身で。そこに美容のクリエイションの要素も入れたかったので、フォトグラファー梅津さんに色の加工をプラスしてもらいました。

中面左ページの作品
中面右ページの作品

ーヘアデザインのポイントを教えてください。

 シンプルな対比を見せたかったので、黒髪と白に近いハイト ー ンヘアにしました。黒髪のスタイルはトレンド感のあるウルフベー ス。ただかつてのような束感の強いスタイリングではなく、くせ毛のような抜け感のあるスタイリングに。ハイトーンのスタイルもウルフベースではありますが、繊細な束感がポイントの韓国系のスタイルに仕上げました。ウルフ系も韓国系もリアルサロンワークで需要が高いスタイル。そういった意味でもトレンドを提案し続ける 『リップス』らしさを表現できたと思います。

一衣装もすてきでした。

 コムデギャルソンやジョンローレンスサリバンなど、日本のブランドでエッジが効いているアイテムを選びました。上質なハイカルチャーということでストリートではなくドレッシーなイメージを取り入れつつ、少しパンクに。”かっこいい男”感を追求しました。

ー”矢崎さんの作品”であると同時に、”『リップス』の作品”であるということが伝わってきます。そもそもクリエイションを始めたきっかけを教えてください。

 クリエイションはずっと好きだったのですが、『リップス』に入社してからはまずはお客様に向き合い、会社を成長させたいという思いから、サロンワークやリアルスタイルに集中していました。
 ここ数年は店舗が増え、後進育成のためアカデミーで講師を担当するようになりました。サロンワークから離れたことで、サロンワークとは違う角度で技術を磨いてもうワンステップ上がろうと考えたときにクリエイティブの世界に挑戦して、その結果をサロンワークやアカデミーに反映できればと考えました。なので実は、クリエイションを始めたのは5〜6年前の40歳を超えてからなんです。そうやってきた中で、 『リップス』が25周年を迎え、今回 『タイムレス』というテーマに巡り合うことができました。

一流行り廃りが早い美容業界で、『リップス』がこれほど長く続いている理由を矢崎さんはどう考えていますか。

 やはり20年、25年と続けることは難しいですよね。技術やデザインが自分が20代、30代のときに一番流行っていたもので止まってしまう人は多いと思うんです。トップを走る人が向上心を持って、トレンドや時代を読み解けなくなると瞬く間に置いて行かれてしまいます。それを常に意識していて、口だけでなく実行できる自分でありたいと思っています。会社としても、自分自身としても、徹底して己を磨き上げて技術、デザインを進化させるのが好きというマインドが根底に流れています。

一矢崎さんが『リップス』に入社した経緯を教えてください。

 元々美容師に憧れがあってヘアやメイクが好きだったというよりは、一生働けそうな職業ということから美容学校に進みました。最初に入社したサロンは基礎が学べる老鋪という基準で選んだのですが、デザインを作り始めたときにイメージとの違いを感じて辞めました。次のサロンは代官山にあるお店。技術は好きだったので、業界誌を読んだり、先輩の姿をみたりして、独学で頑張っていたところ、認めてもらい1年半ほどでスタイリストデビューできました。けれども前サロンもそうですが、老舗でもあり組織になかなかなじめず。そしてヘアを作るのは好きだけど接客が苦手で…。一 度美容師の仕事から離れることにしました。

一美容師をしていない間はどのような仕事を?

 一旦地元に戻って、全く人と関わらない仕事をしていました。けれども離れてみると人と関わる幸せに気づけたんです。それならもう 一度ちゃんと美容師として働いてみようと、東京に戻りました。それで組織的なところよりも個人店でマンツーマンでお客様を接客できるサロンに入社しました。けれども、当時はSNSもなくて集客力もなかったので、これで一生食べていくのは難しいと痛感。一生美容師をやっていくなら自分のスタイルが雑誌に出て、「この人に切ってもらいたい」と思われるぐらいにならないと。覚悟を決めて再びサロンを探して辿り着いたのが 『リップス』(現 『リップスヘアー 』)でした。

ー『リップス』が立ち上がった直後ぐらいですよね。

 2年後ぐらいです。当時は1店舗2フロアのみ。今はメンズのイメージも持っていただけていますが、当時はレディースがメインでした。ただ少しづつメンズのスタイルも雑誌に掲載され始めて、『リップス』ならカテゴリーを決めずに、全ジャンル挑戦できると思ったんです。

ーどのタイミングでメンズヘのシフトを?

 自分はあらゆる技術を極めたいという思いが強くてレディースとメンズの両方をやっていたのですが、メンズで結果が出始めて、お客様の比率が半々にまでなりました。またフロアに男性頑客が多くなると、女性顧客がアウェーに感じてしまう様子も見られました。お客様の居心地の良さのためにも、ここまで来れたからにはメンズに振り切ろうと思って、サロンワークも雑誌もメンズ企画のみに絞りました。

一個人から組織へ、オールジャンルから特化型へ。想像とは違う道を歩んでいる?

 そうですね。自分のキャリアのスタート地点を考えると、組織も接客も苦手なのに、全ジャンルやりたいというところから、美容師を辞めてみたりと人生の中で色々な経験を積み重ねて、今は真逆といってもいいメンズ特化型のスタイルに落ち着きました。今の時代の若手であれば絶対に特化型だけれど、いつかそれが通用しなくなる時代も来るのでは。その時々のお客様に合わせてマインドを変えていかないと、25年、さらにその先の50年と続けてはいけません。自分の考え方に執着しすぎると美容師人生詰むことになるので、チャレンジや挫折を恐れずに柔軟に突き詰めることですよね。デザインも生き方も会社選びも、今否定していることを10年後には肯定していることだって大いにあります。
 世の中ではフリーランスが流行っていますが、個人店で働いていた経験から、 一 人でやる限界を知っています。いくら自分がいいデザインを作れると思っていても、掛け合わせて成長しないと結果につながりにくい。自分と違う意見や多様性が身につき、1たす1が2以上になることを 『リップス』で知りました。

COVER LOOK BY
LIPPS_Yuji Yazaki
MAKEUP:Risa Satake
PHOTO:Shota Umetsu

矢崎 由二氏 @lipps_yazaki
山梨県出身。窪田理容美容専門学校卒業。都内サロンを経て2001年、「LIPPS(リップス)」に入社。オリジナルカット技法「フレームカット」のマニュアル作りに尽力する。23年1月より、ハサミを置いて「LIPPS academy」で後進の指泊に専念。クリエイティブやコンテストヘの出場、 ヘアショーヘの出演など多方面で活躍中。

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