ライフスタイル発信に共感の声
女性フォロワーの心をつかむ

アイドルグループ『アイドリング!!!』のメンバーとしてデビューし、2012年には年間270本にものぼるテレビ番組に出演、一躍人気タレントになった菊地 亜美さん。2018年に結婚を発表し、2020年の第一子・娘さんの妊娠出産を転機に、活動が大きく変化した。

「独身時代や子どもが生まれる前は『テレビで見ました』という声をかけていただくことがすごく多かったんです。それが2019年にYouTubeチャンネルを始めて、コロナ禍でなかなか外出ができず、妊娠中は仕事もあまりできなかったこともあり、自宅で撮影ができるライフスタイルを中心に発信するようになりました。それが自分の予想に反して、同世代の方や、妊婦さん、子育て中のママさんが見てくれるようになったんです」と振り返る。出産から2日後に撮影したありのままの出産直後レポート動画は大きな話題となり、出産経験の有無に関わらず多くの女性から共感を集めた。

今では、YouTubeの視聴者は8〜9割が女性で、日々の子育てや何気ない日常をつづるInstagramのフォロワーもほとんどが女性だ。

「アイドルグループ時代は9割が男性ファン。バラエティ番組に出るようになってからも、イベントなどに来てくださるのはやっぱり男性が多かったんです。それが何気ない日常をアップしたYouTubeをきっかけに、『頑張っていな い姿が好き』と言ってくれる女性ファンの方が増えていきました。私の感覚では良くも悪くも、すごく頑張って発信するというモチベーションではなかったのですが、肩の力を抜いて、声を張らなくてもいいと気づかせてくれました。普通のライフスタイルに、『私も同じです』と共感してもらえたことは大きな気づきでしたね」

プロデュースにも注力
ママが必要とするものをつくりたい

自身の美容へのこだわりからスキンケアブランド『Pepti Time（ペプチタイム）』のプロデュースにも挑戦している。そして、化粧品はあくまで対自分へのアイテムだったが、子どもが生まれてからは「子どもがいるママ」「子どもがいる自分」という軸で「こういうのがあったらいいのにな」と発想することも増えたそう。そこで、「頑張るママのそばに。」をキャッチフレーズに、2022年に新ブランド『UNf（アンフ）』を立ち上げ。ブランド名は、「忘れられないぐらい楽しくて、素敵な子育ての時間になるように」という思いを込めて、unforgettable（忘れられない）の頭文字から命名した。

8月には家事と育児を両立する中での「欲しい」を詰め込んだ『ワンオペバスローブ』を受注販売。YouTubeチャンネルではメーカーとの打ち合わせに1人で臨む姿も公開した。「こんなの待ってました！」というフォロワーから共感の声が寄せられた。「ものづくりがしたいというよりも、欲しいものがないから作りたいという思いが強 かったんです。私の『あったらいいな』を発信したら、共感してもらえることが多くて、『ママって一緒なんだな』って日々感じています」。今後もみんなと共感しながら、『UNf』を通じて子育てにまつわるあらゆるアイテムをオールジャンルで発信していく。

『ワンオペバスローブ』を着用した菊地さん

テレビに出ているママ友の感覚
親しみやすいキャラでありたい

大きなライフイベントをきっかけに、タレントの枠を超えてマルチに活動の場を広げる菊地さんは、「憧れ的なポジションよりも、共感してもらいやすいタイプ」と自己分析する。

「テレビを中心にお仕事をしている時は、かなり計画を立てるタイプだったんです。けれども、10年先の未来予想図には無かった結婚をしたんです。そこからどんどん変化していったんですよね。良いようになるか、悪いようになるかは分からなかったけれど、ただただ現実を突き進んでいたら、出会えなかった人たちに出会えたり、思い描いていなかった未来につながっていました。将来を考えるより、目先のことを楽しんで頑張ることだなって、今は仕事への向き合い方がすごく変わりました」

いわゆる「ママタレント」とはひとあじ違う、子育てに全力を注ぐ「ママ」であり「タレント」。まるで「ママ友」がテレビやSNSで活躍しているような感覚になる等身大の姿に多くの人が心を掴まれるだろう。

『ワンオペバスローブ』の 撮影時の赤ちゃんモデル あすなちゃんとの2ショット

娘とホテルのプールに 遊びに行った時のシーン